その「まだ大丈夫」に、あなたは気づいていますか?
「心配しすぎよ」「まだ大丈夫だから」
最近、親がそう言うことが増えていませんか?
高齢の親の生活にふと違和感を覚えたとき。
「いまはまだ介護っていうほどじゃないし……」と、その違和感を見過ごしてしまいがちです。
でも実は、その「違和感」こそが、介護が始まる前に子世代が気づいておくべきサインかもしれません。
特に、親自身が“まだ大丈夫”と強く主張するほど、その裏には変化や不安を隠したい気持ちが潜んでいることもあるのです。
この記事では、在宅介護が本格化する前に押さえておきたい、5つの「兆候」と、
介護の入り口でつまずかないための心構えチェック表をご紹介します。
動画解説
「まだ大丈夫」と言う親に見られる5つの兆候

1. 同じことを何度も確認するようになった
「今日ゴミの日だっけ?」「○○さんから電話あったっけ?」
一日に何度も同じことを聞かれるようになったら、それは単なる“うっかり”ではないかもしれません。
認知症の初期症状としてよくあるのが、「短期的な記憶があいまいになる」こと。
本人もその不安をどこかで感じていて、だからこそ「まだ大丈夫だから」と強調することがあります。
✅ 厚労省の認知症施策ガイドでも、「同じ質問を繰り返す」ことは“早期気づき”の一つとされています。
2. 季節に合わない服装で出かけている
真冬に薄手のカーディガン一枚で出かけたり、夏に厚手のセーターを着ていたり。
「ちょっとしたこと」と思うかもしれませんが、これは判断力の変化や体感温度のずれが生じているサインかもしれません。
実際に多くの家族が「服装の乱れ」から違和感を覚え、その後の介護へつながったという例もあります。
🧣「お母さん、今日寒くない?」とさりげなく声をかけてみることで、変化に気づけることがあります。
3. ゴミ出しや掃除が滞ってきた
以前はきちんとしていたのに、いつのまにかキッチンが散らかっていたり、
ゴミが数日分たまっていたりすることはありませんか?
こうした日常の乱れは、身体の疲れや家事に対する気力の低下のサインです。
本人がそれを認めたくない場合、「大丈夫、ちゃんとやってるよ」と答えることがよくあります。
4. 薬の管理が不安定になってきた
「昨日飲んだかどうか覚えてない」「飲みすぎちゃったかも」
このような言葉が出てきたら、薬の管理が難しくなってきているサインです。
とくに複数の薬を服用している高齢者の場合、「飲み忘れ」や「重複服薬」による健康リスクが高まります。
💊 家に残っている薬の量が合っていない、というケースも要注意ポイントです。
5. 人との関わりを避けるようになった
「最近、あの人と会ってないな」「外に出るのが面倒になったみたい」
こうした変化は、社会的な孤立や気力の低下を表していることがあります。
人と話すことが億劫になる、昔楽しんでいた趣味をやらなくなる。
そんな小さな変化は、心の不調や認知機能の変化の初期段階かもしれません。
「まだ大丈夫」は、自立の誇りでもある
高齢の親が「まだ大丈夫」と言うのは、本音とは限りません。
・子どもに迷惑をかけたくない
・自分の老いを受け入れたくない
・介護される側になりたくない
そんな気持ちが混じっていることが多く、自尊心の表れである場合もあります。
だからこそ、問い詰めたりせず、そっと“変化”に気づき、静かに寄り添う姿勢が大切です。
📋在宅介護の心構えチェック表
以下のチェック項目は、厚労省の「在宅医療・介護連携ガイドライン」や、各自治体の家族向け支援資料を参考に作成しました。
在宅介護が「いきなり始まらない」ように。
少しでも“備える意識”がある方に役立てていただければと思います。
✅ 今のうちに確認したい5つの心構えチェック

- 親の健康・生活状況を日常的に把握している
→ 通院頻度や服薬、食事、日中の過ごし方など - 地域包括支援センターやかかりつけ医の連絡先をメモしている
→ “困ったとき”の最初の相談窓口です - 介護保険の申請方法をざっくりでも理解している
→ 要介護認定→ケアマネ選定→サービス利用、の流れを知っておく - 自分の生活・仕事と介護の両立を考えたことがある
→ フルタイム?実家との距離?介護休業制度は? - 兄弟姉妹との役割分担について、なんとなく話したことがある
→ 感情のもつれを防ぐため、早めの共有が有効です
制度の基本:まず相談するならどこ?
▶ 地域包括支援センターが「最初の窓口」
介護が必要かどうか迷っている段階でも相談できる、とても心強い場所です。
- 相談は無料、予約不要の窓口が多い
- 介護保険の手続きやケアマネジャーの紹介も可能
- 親本人が相談を拒んでいても、家族からの「予備相談」ができます
✅ 各市町村のHPに「地域包括支援センター一覧」が掲載されています。
「○○市 地域包括支援センター」で検索してみてください。
まとめ:あなたが気づいた“今”こそ、最初の一歩
在宅介護は、突然始まるもののように思われがちですが、
実際にはその前に「静かなサイン」がいくつも現れています。
あなたが、ふとした違和感を感じた“そのとき”。
それが、介護が始まる前の大切なタイミングかもしれません。
今すぐにすべてを整える必要はありません。
でも、“気づくこと”は、誰にでもできる最初の行動です。
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